- 旅行
- 2020/03/25
ロシア在住の日本人が暮らす住居&住宅事情を写真付きで大公開!!
- ロシアの住宅事情に興味がある方
- 留学・転勤等でロシアで暮らす予定の方
- ロシアで暮らす人々は、どんな場所に住んでいるか知りたい方
「ロシアで暮らしている人は、どんな住宅に住んでいるの?」
この記事では、そんな「ロシアの住宅事情」について詳しく紹介していきます。
私自身、留学時代を含めるとロシア在住歴6年になります。
今回は、実際に暮らしているロシアのアパートを写真付きで大公開していきます。
この記事を通じて、ロシアでの生活の様子を少しでも知っていただけると嬉しいです!!
ロシアの住宅事情
ロシアはアパート・マンション派が大半
ロシアでは、アパートやマンションといった集合住宅に住んでいる人がとても多いです。
全ロシア世論調査センター(ВЦИОМ)の2020年の調査によると、ロシア人の65%の人々が集合住宅(アパート・マンション)に住んでいるそうです。
都市部では、アパートやマンションに住んでいる人の割合はさらに高いと思います。
実際に、私が働いている職場(劇場)のダンサーたちも、ほぼ全員がアパートやマンションで暮らしています。
- ソ連時代に国から市民に無償で提供されたアパート(Хрущёвка)等が残っている。
- 都市部に人口が集中している。
- ロシア人の平均年収に対して、土地の値段が高い。
その他にも上記のような理由によって、集合住宅(アパートやマンション)に住んでいる人がとても多いです。
家具・家電付きのアパート・マンション物件が多い
ロシアで賃貸アパート物件を探す場合、「家具・家電付きの物件」が多くあります。
実際に、ロシアの総合売買サイト「Avito」で賃貸アパートを検索してみました。
(下部の写真のように)ほとんどが家具・家電付きの物件になっています。
物件選びは「Avito」を利用しました!!
このようにロシアの賃貸物件は、家具・家電付きの物件の方がポピュラーな印象です。
事前に家具や家電を買い揃える必要がなく、契約してすぐに生活を始めることができるので引っ越しも簡単です。
ロシアの住宅(アパート・マンション)の外観と共用部分
それでは、ロシアで多くの人で暮らしている集合住宅(アパート・マンション)について詳しくて紹介していきます。
私が実際に暮らしているロシアの住宅(アパート)の写真付きです。
まずは、外観です。
ロシアの集合住宅(アパート・マンション)は、日本の団地のような外観をしています。
ソ連時代に建てられた築◯◯年といった古い建物がまだまだ多く、歴史を感じる外観の建物が多いです。
この写真の建物は、1995年に建設された築30年ほどのアパートです。
外観がボロいと内装までボロいのではないのかと心配なります。
ですが、居住スペースはリフォームを繰り返し、外観から想像できないくらいキレイな場合がほとんどです。
ロシアでは、DIY感覚で家を自分でリフォームをする人が結構います。
入り口:Подъезд
ロシアの集合住宅(アパート・マンション)は、一つの建物に入り口(Подъезд)が何ヶ所もあります。
同じ建物でも、どの入り口(Подъезд)に入るかによって、行ける部屋が分かれています。
それぞれの入り口(Подъезд)の扉の上には案内板が貼ってあり、「この入り口(Подъезд)からは何号室にアクセスできる」か確認することができます。
この写真の場合、この3番の入り口(Подъезд)から「109-162号室」に行けることが分かります。
このような理由から、ロシアの友人のアパートやマンションを訪れる場合は、住所に加えて入り口(Подъезд)の番号を一緒に聞いておく必要があります。
宅配やデリバリーを注文する場合も同様で、入り口(Подъезд)の番号を必ず聞かれます。
また、入り口(Подъезд)の場所を調べるには、Yandex.Mapsや2ГИС(2GIS)といった地図サイトが便利です。
写真のように、地図上で建物の入り口(Подъезд)の位置とその番号を事前に確認することができます。
Yandex Maps & Navigator
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2GIS: Map and GPS Navigation
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エントランス
入り口(Подъезд)の扉は、頑丈な鉄製のドアになっています。
扉は電磁石式で、正しい解錠方法を行うと電気が止まり扉のロックが解除される仕組みになっています。
- 専用のマグネット式のカギを読み取らせる
- 中の住民に扉のロックを解錠してもらう
扉を開けるには、上記の「2つの方法」があります。
まず、マグネット式のカギを使う場合です。
アパートを借りると、部屋の鍵とは別にマグネット式のカギを渡されます。
10円玉くらいのサイズのカギです。
この小さいカギを、エントランスの入り口(Подъезд)の扉の近くのあるインターホンの赤い枠の読み取り口にかざすと、ロックを解除されます。
ロシアでは、このマグネット式のカギがほとんどのアパート、マンションで使われています。
次に、中の住民に扉を開けてもらう方法です。
扉近くのインターホンで、中の住人を呼び出すことができます。
使い方は、下記の通りです。
- 部屋番号の入力
- Bボタンで呼び出し
- 住民と通話
※Cボタンで入力した内容のキャンセルができます。
どちらの場合も、扉のロックは解除されている間は音が鳴ります。
時間にして、「15秒」くらいです。
音が鳴っている間に、自分で扉を開けて中に入らないいけません。
もしも扉を開けて中に入る前にロックがかかってしまった場合には、再度、マグネット式のカギを使うか、中の住人に開けてもらう必要があります。
郵便受け(ポスト):Почтовый ящик
入り口(Подъезд)の扉の内側は、共用部分になっています。
共用部分は、全体的に暗めです。
入り口(Подъезд)の扉を超えてすぐには、郵便受け(Почтовый ящик)があります。
部屋番号順に、郵便受けがズラーッと並んでいます。
郵便受けは、各自でカギをかけることができます。
ですが、どの郵便受けにもカギはされていません。
郵便受けに「高価なモノが投函されることがめったにない」のが理由のひとつです。
ロシアでは、通販サイトなどで購入した商品の配送は手渡しで受け取るか、街の各所にある配送センターや受取ロッカーでの受け取りが一般的です。
実際に、自分が住んでいる部屋の郵便受けに入っているのは、チラシとガス・水道・電気や公共料金の請求書くらいです。
1週間に一度、郵便受けの中身を確認しています。
というわけで、誰もカギをかけていないと思われます。
ちなみに、鍵がないと郵便受けが設置してある共用部分に入れないのに、誰がどうやって郵便物を投函しているかは謎です。
エレベーター:Лифт
各入り口(Подъезд)ごとに、エレベーター(Лифт)が設置されています。
写真を見ても分かる通り、年季が入ったのエレベーターとなっています。
おそらく、このアパートが建てられてから、一度も点検されていないと思います。
そんな年季が入ったのエレベーターですが、高層階の住人にはなくてはならないアイテムとなっています。
2階には、なぜかエレベーターは止まりません。
ロシアでは、5階建て以上の建物にはエレベーター設置する義務があるそうです。
階段(+ダストシュート):Лестница
階段には、照明は付いていません。
日中は太陽の光が窓に差し込んで明るいですが、日没後は真っ暗です。
この階段の踊り場で、タバコを吸っている松葉づえを持ったおじさんをよく見かけます。
また、階段の踊り場にはダストシュートが設置されています。
投入口にゴミをいれるとパイプの中を通り、下のゴミ集積場所に運ばれます。
このダストシュートの中を通れるサイズのゴミであれば、外に出なくてもゴミを捨てることができます。
ゴミ捨てのために一階まで降りる必要がなく、非常に便利です。
臭いの観点から、低層階にはダストシュートの投入口が設置されないことが多いです。
玄関前(二重扉)
エントランスから自分の部屋にまでの道のりには、全部で3回、扉を開ける必要があります。
- エントランスの扉
- 共用部分に接する扉
- 玄関の扉
共用部分に接する2つ目の扉を開けると、中には各部屋の玄関につながる扉が見えてきます。
扉の数が多いのには、「セキュリティ対策」と「寒さ対策」の2つの理由があると思っています。
- セキュリティ対策
- 寒さ対策
実際に、共用部分に接する扉(2つ目のドア)の中は、部屋の中と同じくらい暖かさになっています。
また、共用部分に面している扉(2つ目のドア)の近くには、中にある各部屋の呼び鈴が設置されています。
人の家を尋ねる場合は、この呼び鈴を鳴らして2重扉を開けて貰う必要があります。
ちなみに、電気・ガスメーターは日本のマンションと同じように共用部分に設置されています。
ブレーカーもなぜか共用部分に設置されています。
ロシア住宅(アパート・マンション)の内部を大公開
次に、ロシア住宅(アパート・マンション)の内部を紹介していきます。
アパートの基本情報は、下記のようになっています。
- 広さ:58平米(58㎡)
- 間取り:3LDK
- 築年数:築26年
- 階数:9階建て
- 備考:家具・家電付き
玄関:Передняя
玄関の扉もほかのドアと同じように、頑丈な作りになっています。
ドアには、ドアスコープ(のぞき窓)も付いています。
また、日本のようなドアチェーンは付いておらず、代わりに内鍵がついています。
インターホンの受話器も設置されています。
この受話器で、通話やエントランスの扉の解錠ができます。
- 受話器を取り上げると、エントランスにある人と会話ができます。
- (写真中央の)ツマミで音量の調整
- (鍵マークの上にある)ボタンを押すと、エントランスの扉が解錠される。
受話器の使い方は、上記の通りです。
玄関に入ると、床はすぐにフローリングになっています。
日本のような靴を脱いだりするための土間スペースは設けられていません。
そのため、ロシアでは玄関マットを敷いて「土足エリア」と「室内履きエリア」を分けるのが一般的です。
ですが、ロシアでは日本と同じように家の中では靴を脱ぎます。
特に冬場は、靴や上着に雪がたくさん付き汚れた状態で家に帰ってくるため、すぐに玄関がグチャグチャになってしまいます。
冬場、知り合いの家を訪れる場合は、家の中の入る前に靴や上着に付いた雪を落としておくのがオススメです。
リビング:Жилая комната
まずは、リビングです。
上の写真にある家具や家電は、すべて備え付けでした。
- ソファー
- 収納棚
- ブラウン管テレビ
- テーブル
- エアコン
ロシアの「家具・家電備え付け」といえば聞こえはいいですが、実際は前の住人のものがそのまま残っているという感じです。
実際にこの物件に入居したときには、本や調味料、掃除道具などもありました。
大家さんには「ここにあるものは全て好きにしていいよ」と言われていたので、入居にしてまず最初にしたのは「残っているモノの整理」でした。
残置物の整理は大変でしたが、ある程度のものが最初から揃っているので、最小限の荷物で引っ越してきた私にはありがたかったです。
ソファーは、折りたたみ式でベットにもなります!
窓:Окно
ロシアの窓は、写真のような白い窓が一般的です。
「全開」と「半開き」の2パターンの開け方があります。
写真のように状況に応じて、開け方を変えられます。
また、夏場には取り外し式の網戸も追加で取り付けて、蚊や虫の侵入を防いでいます。
暖房器具:батарея
各部屋には、写真のような暖房器具(батарея)が設置されています。
簡単にいうと温水ヒーターのようなものです。
この暖房器具(батарея)が建物全体に張り巡らされてあり、パイプの中を温水が流れることで部屋を暖めています。
そのため、冬場でも半袖で過ごすことができます。
暖房器具(батарея)のオン・オフは、自分で操作できません。
ですがツマミを調節し、流れる温水の量を調節することで、部屋の温度を調節できます。
この暖房器具(батарея)がついている時期は暖かいですが、室内が非常に乾燥します。
洗濯物は室内に干しておくと、一晩でカラッカラになるくらいです。
そのため、寝室では毎晩、濡らしたタオルを干して部屋を加湿していました。
コンセント:Розетка
ロシアのコンセントは、「Cタイプ」です。
日本の製品をロシアで使う場合には、変換プラグが必要です。
コンセントは、高い位置に設置されています。
高さは統一されておらず、どんなに低い場所でも腰の高さくらいです。
コンセントがすぐに見つかるので便利ですが、日本のように低い位置にある方が見た目はキレイです。
キッチン:Кухня
キッチンです。
毎日の食事も、このキッチンにある小さいテーブルで食べています。
- 冷蔵庫
- ガスコンロ(オーブン付き)
- 食器
- 包丁
- 洗濯機
- テーブル・イス
電子レンジだけは備え付けではなかったため、自分で購入しました。
コンロは、4口のガスコンロとなっています。
同時に、鍋やフライパンを多く使えるので便利です。
最近は、ロシアで有名な「ボルシチ」を作るのがマイブームです。
また、コンロの下には大きなガスオーブンも付いています。
シンク(流し台)は、小さめです。
洗い物をするときに、水がビチャビチャはねて毎回周りが汚れて困っています。
また、洗濯機はキッチンに設置されています。
日本では珍しいですが、ロシアも含めたヨーロッパではよくある洗濯機の設置場所です。
水回りをひとつにまとめられるので、合理的ですね。
浴室:Ванная комната
浴室と洗面所です。
バスタブの中にシャワーが設置されています。
湯船に浸かる文化のない国では、「よくあるお風呂スタイル」です。
このような浴室でシャワーをすると、シャワーの水がバスタブの外に水が飛び散って床がビチャビチャになります。
そのため、バスタブに浴室用カーテンが付いている場合もよくあります。
また、物件によってはバスタブすらなく、シャワーだけのアパートもあったりします。
ロシアの水道水は、蛇口をひねるとお湯がいつでも出てきます。
「普通の水道管」に加えて、「お湯の水道管」が通っており、工場から直接熱々のお湯が送られてくるからです。
お湯だけを出すと、火傷するくらい熱くいつも水と混ぜて温度を調節してちょうどいい温度のお湯に調整しています。
ロシアの水道は「常温の水道水」に加えて、工場から熱々の「お湯」が直接送られてきます。
ロシアでは、お湯が出なくなることがよくあります。
私の体感では、月に1,2回ほど。
お湯が出ない日は、写真の家庭用の湯沸かし器を使ってシャワー用のお湯を沸かします。
大家さんから「電気代が結構高くなるよ」と言われて、一度しか使ったことがありませんが・・・。
トイレ:Туалет
トイレです。
便座のサイズを日本より大きいです。
便座全体に深く腰掛けて座ろうとすると、便器の中に落ちてしまいそうなほど大きいです。
そのため、いつも便座の前の方に浅く座っています。
写真の上部にあるのが、先ほど紹介した「家庭用の湯沸かし器」です。
また、私の住んでいる物件は、水道の元栓とメーターがトイレに設置されています。
水とお湯が別々の水道管を通って送られてくるので、元栓とメーターも2つあります。
水道料金は、自身でどのくらい水道を利用したかを水道メーター確認して、料金を支払います。
私の場合は、月に一度、大家さんがこのメーターの数字を確認して料金を支払っています。
電気やガスも同じような方法で、料金が決まります。
ベランダ:Балкон(Лоджия)
リビングの外には、ベランダが付いています。
ベランダには、バルコニー(Балкон)とロッジア(Лоджия)の2種類があります。
- バルコニー(Балкон):建物の外壁から飛び出ているベランダ
- ロッジア(Лоджия):建物の外壁の内側に収まっている
2つの違いは、ベランダのスペースが建物の外壁の外側に出ているか、内側に収まっているかの違いです。
このアパートは、外壁の内側にあるのでロッジア(Лоджия)になります。
ベランダは洗濯物を干したり、物置のスペースになっています。
また、日本のベランダとは異なり外側に壁と窓が天井まであるので、二重窓としての寒さ対策の役割も果たしています。
とはいっても、冬場のベランダは、外の温度とほとんど変わりません。
そのため、冬はベランダでジャガイモや玉ねぎなどの野菜を保管しています。
飲み物を冷やすのにも、冬場はベランダの方が早く冷えます。
まとめ
「ロシアの住宅事情」をまとめると、下記の通りです。
- ロシアでは、集合住宅(アパート・マンション)で暮らす人が多い
- 集合住宅には、入り口(Подъезд)が何ヶ所もある
- 築年数が古い建物が多く外観はボロいが、中はキレイ
- 水道は、すぐにお湯が出る
- 住宅は、暖房器具(батарея)があり冬でも暖かい
この記事を通じて、「ロシアの住居事情」について、何か少しでも新しく知っていただけたことがあれば嬉しいです。